移築用古民家解体工事⑥小屋組み解体
いよいよ、木造建築の構造材を解体していきます。
梁や柱などの構造材はとても重いため、レッカーと人の力、
両方を上手に使い、解体していきます。
構造材を持ち上げるレッカー。
桁にレッカーの紐を括り付ける大工さんの様子。
レッカーで吊し上げられた古材。
吊し上げた古材は敷地内の地面に置き、2つ以上の構造材が繋がっている場合は、
仕口を壊れないように手作業で外していきます。
この古民家に使われている材は、ほぞとほぞ穴ががっちりと接合するように
数ミリ単位で調整されており、建設当時の職人の腕の良さが見て取れます。
外すのに手間がかかりましたが、掛矢(大型の木槌)やバールを使いながら、
一つ一つの材に解体していきます。
綺麗に外されたほぞの部分には、建てられた当時の番付が書かれていました。
解体に使われた掛矢。
大工さんがバールを使い、仕口を外している様子。
解体していくと、桁材の並びの美しさなど、木造建築の構造美が露わになり、
目を奪われます。
大きな梁を外すには、沢山の人手が必要になります。
大工さんが梁の上で、どの梁から外していくか、
仕口がどんな風に組まれているかなどを話し合い、順番に解体していきます。
レッカーで吊り上げながらの解体のため、
上に乗っている梁から順番に外していく必要があります。
メインの十字梁の上に乗っている梁の継手部分を外しています。
掛矢で叩きながら、細長い木を差し込んで「てこ」の原理を使って
力を加えていきます。
継手部分アップ。
大きな梁の上で材が継がれています。
綺麗に外れ、レッカーで運ばれていきます。
いよいよメインの十字梁に取り掛かります。
とても大きな梁のため、まずはレッカーの紐を元口部分に括り付け、
吊り上げる力を加えながら、後は手作業で仕口を外していきます。
しっかりと柱の上に乗った梁の元口の大きさ。
長い木材を使用し、てこの原理で、柱に差し込んである梁を持ち上げます。
同時に掛矢で下から上へ仕口の周りを叩き上げ、
がっちりと接合されているほぞとほぞ穴を少しずつ外していきます。
レッカーを操縦する人とそれを指示する人の意思の疎通も大切になります。
梁が抜けてくるにつれ、長いほぞが現れていく様子。
一時間近くもの間、レッカー操縦者と指示者、てこの原理で梁を持ち上げる人、
掛矢で梁を叩き上げる人など、数人の大工さんの阿吽の呼吸で作業することによって、
漸く仕口が外れました。
現れたほぞの長さに驚きます。
この古民家は長い年月の湿気を含み、仕口が膨張しており、
外すのに大変な労力が必要でした。
地面に寝かせてみると、圧巻の迫力。実に8m超えの大きな梁でした。
近くで見ると、ほぞ穴の大きさにも迫力を感じます。
この時点で、小屋組解体作業を始めてから一日半経過しています。
解体作業にかかった日数は計3日間。
残りの一日半につきましては、次回の記事でレポートしていきます。