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現場レポート
2021/10/14

構造材を板材へ、伊香造り古民家の解体

10月に入り、かねてより打ち合わせを重ねていた祇園、大原、長浜の現場への古材納品が重なり、毎日忙しく過ごさせていただいています。

長浜の現場へは、実に欅の柱50本、松の鴨居30本を製材し、腰板や床板に仕上げて納品するという大きな仕事をいただきました。

その他、杉の板材約70枚を目出し磨きし、棚板を作るなどの作業もあり、当店のスタッフのみでなく大工さんや製材所と連携しながら作業を進めています。

今回は、柱や鴨居を板材に仕上げていく過程をレポートしていきます。

欅の柱を並べています。

①柱や鴨居に刺さった釘を残らず抜く。

一本一本金属探知機でくまなく釘を探し、金槌や釘抜、鑿(のみ)、ペンチなどで掘り出していきます。

②製材所で製材。

製材機にかけてもらい、板状にしていきます。

③木取り

板の割れや虫喰い、ほぞ穴などを全て確認し、使えるものと使えないものを選別した上で、白太を外して赤身の良い部分だけを木取りしていきます。

④大工さんにプレナーと実加工をお願いする。

⑤板材完成。

最初の柱の状態からは想像ができないかと思いますが、こんなに美しく仕上がりました。

こちらは素地の状態で、仕上げに油拭きなどを施すかどうかは設計士さんに確認中です。

まだまだ量が足りないので、①から④の過程を毎日のように進めています。

当店の古材は、長浜の古民家で何百年と使われていたものがほとんどですので、手をかけて形を変えて再び長浜の店舗に入れていただけるのは本当に嬉しい限りで、非常に意味のあることだと思います。

 

 

また、長浜の古民家を一軒移築再生用に解体することとなり、先日はお祓いをしてきました。

長年この家を守ってこられた神様、ご先祖様への感謝を込めて。

神主さんの祝詞では、この古民家を大切に手解体し、次の場所で蘇らせるということを神様に伝えてくださいました。

 

お祓いを終えると早速解体作業開始です。

長浜の昔の農家には、ニウジや十字梁を特徴とする伊香造りと呼ばれるかたちが多いのですが、冬の寒さ対策のために吊り天井が取り付けられたり、生活様式の変遷でニウジが畳敷きに変えられたりして手を加えながら住まわれてきました。

その加えられた部分を取り外し、元の姿が出てくると、本来の古民家の梁や柱の存在感に圧倒させられます。

吊り天井を捲って現れた十字梁。

元々はニウジと呼ばれる土座部分に後から床板を張り、畳を敷いて生活されていました。

 

この後、屋根の葭を下ろし、土壁を落としていくと、いよいよ軸組の手解体が始まります。

次回のレポートもどうぞお楽しみに。

 

2021/09/18

古建具の寸法直し、古色仕上げ

最近は古建具のご依頼を沢山いただいております。

寸法、建具の種類(ガラス戸、板戸、障子戸など)、

テイストや設置する場所などお客様のご要望を伺いながら

当店の在庫の中から一緒に探していきます。

 

当然ながらデザインや寸法がご希望にぴったりと合うものを

探すのは難しく、昔の建具は大抵高さが1720〜1750ほどなので

現代の建物に入れるにはほぼ全て高さ調整が必要になります。

こちらは下駄を履かせ、上桟の高さを増やし、上下で

バランス良く高さをお客様のご希望に合わせました。

高さ調節は新材で施されるため、

経年変化した古建具の木材の色とは合いません。

そこで、古色仕上げで全体の色を合わせます。

全体が調和し、綺麗に蘇りました。

 

こちらのガラス戸も幅、高さの調整を施しています。

上部の空間には、古色塗り後新しいガラスを嵌め込みます。

ガラスは新しいものを嵌め込むこともできますし、

古いガラスをカットして嵌め込むことも可能です。

結晶ガラスやゆらゆらガラスなど、現在では

生産されていない古ガラスの良さを味わいたい方は

古ガラスを嵌め込むことをお勧めします。

古色塗りを施しました。

上部にガラスを嵌め込んで完成です。

 

今回は2枚の例を挙げましたが、寸法調整や戸車の取り替えなど

古建具を直して使っていただくご依頼が50枚分ほど入っており、

打ち合わせを進めております。

 

その他動いている現場につきましても、またレポートしていきます。

 

 

2021/09/05

上質な栗の古材を入手、納品

前回、京都大原の現場へ栗の柱材を十数本納品しましたが、

こちらの現場へはまだまだ栗の古材が必要です。

希少な栗の柱を探して方々を駆け回り、

ようやく非常に質の良い古材が見つかりました。

 

滋賀県内の築150年〜200年ほどの蔵に使われていた栗柱材は、

目が詰まっており栗の荒々しさよりも上品な印象を持たせる

味わい深い古材です。

中々見ることのない目の細かい上質な栗材。

設計士さんと共に図面のどの部分に使っていくかを相談し

時間をかけて古材を選定していきます。

4mの長さがある栗の柱材。

自然の木特有の曲がりも魅力の一つです。

大雨の日に雨に濡れながら打ち合わせしました。

 

さて、古材柱と足固め約15本分の選定を終えると、

次は磨き作業です。

よく磨き上げたのち、ご指定いただいた寸法に製材します。

製材前には必ず釘の確認をし、

古材に刺さった釘を一つ一つ抜いていきますが、

化粧面を傷つけずに釘を抜くのは至難の技です。

センサーで釘を探し出し、化粧面に傷が残らないように

工夫して抜いていきます。

製材所では図面に合わせた寸法に一本一本製材するため、

挽く前に入念に確認を重ねます。

古材は全てが一点もので、代用が利かないため失敗は許されません。

ご指定いただいた厚み95mmの寸法で挽いた古材。

約15本を仕上げるにも中々時間がかかります。

 

さて、今回は窓の外に付ける欅の格子も納品です。

こちらは磨き前の欅古材。

磨いて古色塗りを施すことで、こんなに美しく仕上がりました。

 

いよいよ現場に納品です。

納品の日もやはり雨。

トラックから現場へ搬入する途中で少し古材が濡れてしまいましたが、

濡れた栗材もやはり美しいです。

現場に古材を並べて、イメージを確認しています。

今回は御施主様もご一緒に確認してくださいました。

 

こちらの現場はまだまだ古材を使用してくださるため、

今後もレポートを上げていきますのでどうぞお楽しみに。

 

他にも沢山の現場からご依頼をいただいております。

こちらの雨戸は祇園のアパレルショップ兼和菓子屋さんの壁面に

板材としてお使いいただく予定です。

雨戸の板は何十年何百年と雨風に晒され、白茶けて杢目が浮き上がり

非常に深い味わいと風格を持っています。

板材も表面を傷つけないよう丁寧に外していきます。

釘の跡が出ないよう綺麗に外した雨戸の板。

 

また、こちらの雨戸はお寺で約200年使われていたもので、

ベルギーに発送予定です。

非常に目が細かいため、長い年月を経ても

品格が増していくばかりで状態が損なわれません。

こちらは手をかけず、自然が作り出した味わいをそのままに納品します。

 

来月には湖北地方の古民家を一棟、移築再生用に解体します。

その様子もまたレポートしますのでお楽しみに。

2021/06/30

栗の柱材納品

有り難いことに毎日が忙しく、更新が滞っておりました。

本日は京都大原の現場へ栗の柱材10数本の納品です。

この材は先日設計士さんがご来店くださり、

並べた栗材の中から選んでいかれたものです。

栗材を吟味されている様子。

近江の古民家では栗材を使われることが少なく、当店でも

栗は希少なのですが、ある限りの在庫を並べ、

その中から寸法はもちろんのこと、材の表情をひとつひとつ眺め、

どの面を正面にするかなどを時に材を組んでイメージを確認しながら

時間をかけて選んでいかれました。

雨風に晒され時間をかけて白茶けた栗材。

汚れやささくれを落とすために磨きますが、

表面の色や表情を損なわないように工夫が必要です。

 

古材の選定は寸法や樹種はもちろんのこと、表情を実際に見て

磨き具合などを工夫し、吟味することがとても大切になります。

 

また、昨年解体した長浜市の古民家がいよいよ鎌倉の地で

建て方が始まることになりました。

こちらの古民家は元々歴史ある麹屋さんで、エピソードとして

麹作りに使われていた桶など様々なものを当店で保管していました。

保管していた箪笥や古民具をどう使うかなどの打ち合わせに設計士さんがいらっしゃり、

当店の在庫の中からも内装に使えるものを選んでいただきました。

また、明日は古材の色合わせで再度富山に出張予定です。

近江の古民家が鎌倉の地で生まれ変わるのが今から楽しみでなりません。

 

また、移築再生やテナントさんの話も沢山いただいており、

まだ打ち合わせ段階の案件も多いのですが、日々楽しく仕事をしております。

 

滞りがちな現場レポートですが、次回の更新もお待ちいただければ幸いです。

 

2021/04/17

古民家調査

解体前の古民家の調査も島村葭商店の仕事の一つです。

現在は月に2〜4棟の解体予定の古民家を調査に行っています。

古い葭葺き古民家は、小屋組の状態を特によく確認します。

 

屋根裏に入って梁の状態を確認する様子。

 

小屋組の状態がよく、構造が移築再生に向いている古民家は

移築用として簡単な図面を描いたり全て手解体した場合の

見積りを出すなどして、古民家が欲しい方へ紹介します。

 

葭葺き屋根の葭が落ちてしまって

小屋組に雨が滴っている状態が長く続くと、

梁にカビが生えていたり虫が沢山入っていることが多くあります。

構造材の状態が悪いと移築再生を諦めて

良い部材だけを買い取る提案をすることもあります。

 

古民家のみでなく、古い建物の解体の話があると

部材を調査しに向かいます。

こちらは明治初期建設の芝居小屋。

11mの欅の梁が入っています。

重量にして4tほどはあると見込まれるこちらの梁は、

綺麗に外して運ぶだけでもかなりしっかりした重機が必要になります。

再び活かすことができそうな材は当店で

保管し、次の担い手を探します。

このようにして古材、古民家の調査を行っています。