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現場レポート
2024/05/04

製材について

皆様GWはいかがお過ごしでしょうか。

島村葭商店では、GWは天気が良く仕事日和ですので

古材の整理をしております。

さて、先日は家具の天板用の欅材を製材しました。

こちらが製材前の古材鴨居です。

今回必要な寸法は約600×5400×T25ほど。

一枚の古材から作ることはとても難しいので

360×2900×T120ほどの鴨居を2本と、予備に1本用意し

綺麗な杢目が出た部分で接ぎ加工して制作します。

製材してみないと中身がどうなっているかわからないので

鋸を入れる時はいつもドキドキで見守ります。

非常に綺麗な赤みの細かい杢目が出てきて感動です。

使用する薄さまで製材します。

この時も白太が出てしまわないかドキドキしています。

製材の醍醐味は、必要寸法を考慮してどこをカットし

どの杢目を活かすかの見極めです。

白太やほぞ穴を避けつつ一番美しい杢目が主役になるように

今ある材料から検討してカットしていきます。

製材した板をこの後木工作家さんに接ぎ加工、

槍鉋風仕上げしていただき

家具の上に乗せる予定です。

 

古材を製材すると経年変化の面を削ることになるため

味わいは減りますが、昔の材は今よりもずっと

ゆっくりと良い環境の中で育っているため

今では中々お目にかかることのできない赤みの美しい杢目が出ます。

 

また、地域で育った木を地域で使い、地域で回収して再生しているので

循環可能なかたちと言えます。

2023/12/02

古民家調査

しばらく更新が滞っておりましたが、その間も仕入れから

古材のご提案、加工、移築古民家のご紹介など、

日々コツコツと仕事を進めていました。

 

昨日は福井県まで古民家の調査に行き、

大変古い茅葺の古民家と出会いました。

古民家調査のため北陸へ足を運ぶことは度々あるのですが、

雪の深い地域は瓦屋根に変えている場合が多く

草葺の屋根は中々見つかりませんでした。

そんな中、昨日見た古民家は茅葺屋根が残っており

柱材も煤け具合、ハツリの跡から古さがよくわかるものでした。

こちらの欅の大黒柱は、長年の煤がこびりつき、黒く光って艶ができていました。

恐らく煤けた柱を米糠などで長年磨いてきたのでしょう。

触っても手が汚れることは全く無く、煤は柱の化粧のようになっていました。

以前古井千年家という室町末期築とされる古民家を見学に行った際

柱に煤がついて鉄のように硬質な光を放っていたのを思い出し

この柱からはそれに近いものを感じました。

こちらの栗の柱も、ハツリ跡が古いものであることがわかります。

当店で買付をする古民家は、江戸後期以降のものであることが多いのですが

この民家はそれよりも古く、中々出逢えない江戸中期以前のものであると

推定されます。

こちらの古民家は解体するには勿体無いもので、

活用法を検討していきたいと思います。

 

 

また、先日解体前の民家から古道具などを仕入れに伺ったのは

兵庫県の川西市。

川西は古民家移築の件で過去に何度も訪問していた

島村葭商店にとって思い出深い場所です。

そんな民家から仕入れた一式の中から、面白い品をご紹介します。

こちらは、高級銘木「黒柿」で作られた長火鉢。

天板には黒柿の杢の中でも希少な

「孔雀杢」と呼ばれる美しい杢が出ている部分を使用されています。

目利きの職人さんが木を吟味して作られたことがわかります。

あまり古いものではありませんが、

その分状態がとても良く、不具合なく使っていただけます。

その他にも松のジンの部分を使用した食器棚、

桐の黒箪笥、椅子座で使える欅の大きな長火鉢など

色々なものを仕入れて参りました。

 

その他、古材の納品も頑張っています。

こちらの、太さが一尺以上ある柱や梁は北海道へ、

磨いた合掌丸太20本近くは京都市内へ納品しました

 

また、このような薬箪笥や舟板などもお客様にご紹介しております。

古材のみでなく、古道具などもご紹介可能ですので

在庫状況などお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

 

2023/07/04

導入例追加のお知らせ

当店の古材をお使いいただいた実例として、導入例紹介ページに

「鴨半」様の情報をアップさせていただきました。

”鴨半” 様は京都の鴨川の望む一棟貸しのお宿。

床の間や書院には、当店屈指の良質な古材をお使いいただきました。

施工はいつもお世話になっている数寄屋建築の工務店

木村全伸工務店様。

古材は形が歪で杢目や色に個性が強いものが多いのですが

そんな古材を洗練された空間に組み込まれる技術は見事としか言いようがありません。

書院板として生まれ変わった栗の板材は、湖北の古民家から。

栗の床柱は湖北の古い蔵より。雲板も同様に湖北のものです。

黒檀の床框には、湖北の古寺から回収した板を床板として合わせられています。

古材を選んでいただく段階から、お施主様と工務店様のこだわりを強く感じ

こうして形になったものを見ることができるのは、古材屋の醍醐味と言えます。

2023/05/23

ベルギー、スイスへの古材発送

先日は、4tトラックにいっぱいの古材を

ベルギーに向けて当店から送り出しました。

一昨年からコツコツ仕入れては保管していた大量の古材が

手元を離れていくのは感慨深いものがあります。

板材や雨戸など約500枚近くをパレットに乗せて

トラックに積み込みます。

長さ5.5mあるお寺の床板材は、

4tトラックにギリギリ収まりました。

 

トラックを見送ると、今度はスイスへの古材発送の

梱包作業があります。

 

こういった仕事をしていると、

日本の住文化が世界に誇れるものであることを改めて実感します。

 

 

2023/03/21

古材茶室にてお茶会

先日は滋賀県内の立礼茶室にて、お茶会にお招きいただきました。

お茶を点ててくださったのは茶人の中山福太朗様。

こちらのお茶室の設計にも携わられました。

ひとつひとつの動きが、どこを撮っても美しいです。

こちらのお茶室は御施主様の意向により、長年過ごされた古民家を解体する際に、

材の一部を思い出として残してその材料を使い建てられたものです。

当店も製材や古色合わせなどで微力ながら関わらせていただきました。

施工は数寄屋建築の工務店、木村全伸工務店様。

古材を新築のお茶室に見事に組み込んでいらっしゃいます。

天井板にも古民家にて長年磨かれてきた深い艶があります。

床の間のしつらえと障子から入る自然光の神秘的な柔らかさ。

煤竹は古民家の階段の手摺に使用されていたものだそうです。

隅々まで丁寧に作り込まれた美しいお茶室に感動し、

贅沢な時間を過ごさせていただきました。