2025/05/26
先日、高島市の新築住宅へ水屋箪笥を納品させていただきました。
大きく重々しい印象から、中々現代の住宅には導入しづらい水屋箪笥ですが、
こちらのお宅は上下の水屋を分解して横に並べ、上に欅の天板を通すことで
水平的な印象にし、圧迫感をなくしてスタイリッシュにお使いいただくことができました。
こちらの水屋箪笥は、総欅、引き戸に煤竹を使用、
木瓜型の引き手、引き出しの前板に玉杢が出ているなど
非常に質の高い素材と造りでしたが、
年月を経て煤に染まり、色もくすんできていました。
こちらが元々の水屋箪笥を上下に分解して置いた状態です。

Beforeの写真。
この水屋を丁寧に磨きあげ、本来の色に近くなるように
ベンガラなどを使って塗装し、仕上げます。
中の棚板の修理なども行い、このように新築に綺麗に納まりました。


Afterの写真。
昨年製材した欅の天板は、お施主様と相談して水屋箪笥よりも
少し落ち着いた色に仕上げました。
このように水屋箪笥が生まれ変わる過程をご紹介します。

背板、中板は建具屋さんに修理していただき、
食器などを閉まっても心配のない綺麗なものになりました。

天板も最初は煤だらけでしたが、サンドペーパーで磨きをかけて綺麗になりました。

欅の鴨居を製材した板は、木工作家さんに槍鉋風の仕上げを
施していただき、光の加減で波打つ美麗な仕上がりになりました。
こちらに自然塗料を調合した着色をし、水屋箪笥の上に設置して完成です。


新築に納める時はいつもどきどきしますが、
綺麗に納まるといつもほっとすると同時に感動します。

お施主様にも気に入っていただけて、安心しました。
このように、古い物でも加工して現代的に甦らせることができますので
色々とご相談いただけますと幸いです。
2025/05/09

ほぼ総欅のお寺の扉を仕入れました。
当店の軒下に置くと、すごい存在感です。
大きさは高さ約2.4m、幅約1.4mが2枚。
上から吊らないと開くことが難しい重さの扉です。
歴史あるお寺に使われていたので、経年変化の具合も素晴らしいです。
ご興味のある方はお問い合わせフォームからご連絡くださいませ。
2025/03/15
しばらくブログをお休みしていましたが
古民家の移築解体や外国への古材の輸送など、
日々慌ただしく仕事をさせていただいていました。
さて、先日は解体される長浜の民家へ仕入れに。
こちらの蔵は栗の綺麗な板を使われており
傷をつけないように一枚一枚剥がして保管します。



経年変化した栗の板は大変人気が高く、今回の板は特に珍しいほど幅広で
とても良い仕入れができました。
また、床周りにも欅の立派な板が使われているのでこちらも綺麗に取り外します。


慎重に外している様子。

筬欄間も格子が非常に細かく綺麗なもので、
持ち帰る際に壊れない様に梱包しています。
毎月色々仕入れていますので、またこちらで商品紹介をいたします。
2024/06/25
当店が微力ながら関わらせていただいた鎌倉の古民家移築プロジェクトが
先日 The New York Timesの電子版に掲載されました。
お施主様、設計士さんの主導により、数百年前の古民家が各地から集められ
長い年月をかけてかけて生まれ変わったその過程が、丁寧に記事にされていました。
日本各地から、あらゆる伝統技術を継承する職人さんたちが集まって
作り上げられた壮大なプロジェクトです。
「日本の古いものを保護し、後世に伝えていく」ということと
「海外の生活様式と日本の住文化を融合させ、新しいものを作り上げる」
ということの両方を実現しているこのプロジェクトの素晴らしさが
ひしひしと伝わってくる内容でした。
当店も、小さい力ではありますが古民家の紹介や追加古材の提供など
プロジェクトの一員として参加させていただき
お施主様や設計士さんを始め、全国のあらゆる職人さんにたくさんのことを教わる
とても大切な機会を頂戴しました。
こうして記事を読んでいても、改めてたくさん学ぶことがあり
今後どういった理念を持って仕事を続けていくかをもう一度考えることができました。
現在、滋賀県の北端の古民家を2棟、移築用に解体していますが
その2棟にもたくさんの学びをいただけることと思います。
できることは小さいですが、日々コツコツと、捨てられていく良いものを
残し、日本の美意識を紡いでいくための努力を続けて参ります。
2024/05/04
皆様GWはいかがお過ごしでしょうか。
島村葭商店では、GWは天気が良く仕事日和ですので
古材の整理をしております。

さて、先日は家具の天板用の欅材を製材しました。
こちらが製材前の古材鴨居です。
今回必要な寸法は約600×5400×T25ほど。
一枚の古材から作ることはとても難しいので
360×2900×T120ほどの鴨居を2本と、予備に1本用意し
綺麗な杢目が出た部分で接ぎ加工して制作します。

製材してみないと中身がどうなっているかわからないので
鋸を入れる時はいつもドキドキで見守ります。

非常に綺麗な赤みの細かい杢目が出てきて感動です。

使用する薄さまで製材します。
この時も白太が出てしまわないかドキドキしています。

製材の醍醐味は、必要寸法を考慮してどこをカットし
どの杢目を活かすかの見極めです。

白太やほぞ穴を避けつつ一番美しい杢目が主役になるように
今ある材料から検討してカットしていきます。

製材した板をこの後木工作家さんに接ぎ加工、
槍鉋風仕上げしていただき
家具の上に乗せる予定です。
古材を製材すると経年変化の面を削ることになるため
味わいは減りますが、昔の材は今よりもずっと
ゆっくりと良い環境の中で育っているため
今では中々お目にかかることのできない赤みの美しい杢目が出ます。
また、地域で育った木を地域で使い、地域で回収して再生しているので
循環可能なかたちと言えます。