2024/04/02
先日は長浜の雪深い地域で、移築再生するための古民家の解体に先立ち、
お祓いをさせていただきました。
道を隔てて向かい合っている古民家を2棟、移築用に解体します。
外観はかなり古く傷みがきていそうに見えますが、
内部の構造材を見ると、立派な欅の梁や柱が
まだ十分に使える状態で残っていました。
合掌造りの勾配がきつく、高さがあるので、
丈夫な合掌丸太が入っており、長年生活の煙で燻され続けて
良い色合いになっていました。
昔の家は親から子へと何世代も受け継がれてきたものですので
解体時はその家のご先祖様に感謝をすることを忘れてはいけません。
時代の変遷や家族構成の変化によって増改築はされつつも、
家は家系と深く関わり、代々家族を守ってくれる大事なものでした。
今後新しい場所で蘇るためにも、きちんとお祓いをして
次の縁を繋いでいくことがとても大切なことだと考えています。
2023/07/19
2020年の3月より解体を始めた長浜の移築用古民家が、
漸く海外に向けて出発しました。
こちらで充分に仮組みをして、現地ですぐに組み上がる状態にしているので
構造材、造作材などの木材のみで実にコンテナ6個分の量になったそうです。
これから海を渡り、アメリカに着く頃には夏も終盤に差し掛かっているでしょう。
現地では設計士さん、大工さんが古民家の移築を進めてくださいますが、
当店も古色のタッチアップで現地作業を予定しています。
その際はまたレポートいたします。
さて、少し時を遡りますが、先日古材を導入していただいた
高槻の日本料理店「心根」様に伺ってきました。
約5年前にオーナーの片山様と森田建築設計事務所の森田先生にご来店いただいてから
オープン後も中々伺う機会を設けることができなかったため、念願のといった心持ちでした。
茅葺きの古民家を再生された店舗。
掛け軸を飾る床の間には、味わい深い舟板。
框には栗材を使用されています。
こちらは欅の床板に雑木の落とし掛け。
落とし掛けの自然な曲線が美しいです。
入口の丸窓にはしのべ竹の煤竹をご使用いただきました。
その他、レジカウンターなど様々な場所に古材を取り入れてくださっています。
自然の中で育まれた旬の食材のお料理を堪能させていただきました。
蘇った古材の姿を直に楽しめるのは、とても贅沢なことです。
2023/04/17
コロナ禍で停滞していたアメリカへの古民家移築プロジェクトが再開し、
当店もにわかに忙しくなってきました。
工務店さんで仮組みされていた古材は解体され、
古材輸送までにすべて古色仕上げを施します。
梁組みの古色仕上げ。
葭葺き古民家の梁や桁はよく燻されているため、
亜麻仁油のみで深い色が蘇ります。
梁や桁を古色している様子。
樹種により古色した際の色の出方が違うので、松、杉、檜など
それぞれに古色の色ベースを作ります。
また、樹種のみでなく、赤みの強い材、黄みの強い材、
材の乾き具合などで色の出方が変わるため
材に合わせて少しづつ配合を変えていきます。
よく乾いた木は亜麻仁油の吸い込みが良く、濃い色が出ます。
柱や鴨居など比較的寸法が小さい材は
倉庫の中で古色作業を進めていきます。
2023/01/28
日本各地が10年に一度と言われる寒波で大変なことになっていますが
当店の所在する滋賀県高島市にも雪が降り積もっています。
そんな中、冬仕事として1000本の煤竹をコツコツと磨き仕上げています。
当店は1970年代より50年以上かけて煤竹を蒐集しており、
大量の在庫を保有していますが、その中から30〜50φの太さの綺麗なものを選び出し、
長さ1200mmにカットしたものを1000本分作ります。
煤竹は丁寧に水洗いし、乾かしてから亜麻仁油で艶出しをし、
最後に乾拭きをして仕上げるという工程を1000本分こなします。
この煤竹は移築再生の古民家の天井材として使用される予定で、
工務店さんに納品して天井パネルを作っていただいています。
煤竹の天井パネル。
このパネルが沢山作られ、古民家の天井に使用されます。
その他建具関係や床板の仕事もコツコツと進めています。
今年もコツコツと丁寧に仕事できる一年にしていきたいです。
2022/07/11
引き続き鎌倉の現場へ納品する古材で齷齪しております。
こちらへは板材のみでなく様々な造作材、古建具なども納品しています。
箱階段も古材を材料として作成されるのですが、
欅の鴨居を製材し、その材料を作っています。
箱階段の作成をお願いしている作家さんと打ち合わせを重ね、
必要な材料をこちらで提供します。
箱階段の踏み板になる欅板材。
同時に囲炉裏の框に使う材も製材しています。
細く挽いた材は箱階段の廻り縁など細かな部分に使われます。
製材してできた材を木取りします。
総欅の大きな箱階段を作るため、材料も沢山のパーツが必要になります。
割れや白太を外し、綺麗なパーツが取れるようにチョークで印をしていきます。
木取りした材を作家さんの工房に納品しました。
囲炉裏用に挽いた材は並べてみてイメージを掴みます。
設計士さんの意向により、今回は古材の経年変化した色を損なわないよう
表面をさっと磨いて味わいを残します。
こうした古材が現場でどのように活かされるのか楽しみでなりません。