構造材を板材へ、伊香造り古民家の解体
10月に入り、かねてより打ち合わせを重ねていた祇園、大原、長浜の現場への古材納品が重なり、毎日忙しく過ごさせていただいています。
長浜の現場へは、実に欅の柱50本、松の鴨居30本を製材し、腰板や床板に仕上げて納品するという大きな仕事をいただきました。
その他、杉の板材約70枚を目出し磨きし、棚板を作るなどの作業もあり、当店のスタッフのみでなく大工さんや製材所と連携しながら作業を進めています。
今回は、柱や鴨居を板材に仕上げていく過程をレポートしていきます。
欅の柱を並べています。
①柱や鴨居に刺さった釘を残らず抜く。
一本一本金属探知機でくまなく釘を探し、金槌や釘抜、鑿(のみ)、ペンチなどで掘り出していきます。
②製材所で製材。
製材機にかけてもらい、板状にしていきます。
③木取り
板の割れや虫喰い、ほぞ穴などを全て確認し、使えるものと使えないものを選別した上で、白太を外して赤身の良い部分だけを木取りしていきます。
④大工さんにプレナーと実加工をお願いする。
⑤板材完成。
最初の柱の状態からは想像ができないかと思いますが、こんなに美しく仕上がりました。
こちらは素地の状態で、仕上げに油拭きなどを施すかどうかは設計士さんに確認中です。
まだまだ量が足りないので、①から④の過程を毎日のように進めています。
当店の古材は、長浜の古民家で何百年と使われていたものがほとんどですので、手をかけて形を変えて再び長浜の店舗に入れていただけるのは本当に嬉しい限りで、非常に意味のあることだと思います。
また、長浜の古民家を一軒移築再生用に解体することとなり、先日はお祓いをしてきました。
長年この家を守ってこられた神様、ご先祖様への感謝を込めて。
神主さんの祝詞では、この古民家を大切に手解体し、次の場所で蘇らせるということを神様に伝えてくださいました。
お祓いを終えると早速解体作業開始です。
長浜の昔の農家には、ニウジや十字梁を特徴とする伊香造りと呼ばれるかたちが多いのですが、冬の寒さ対策のために吊り天井が取り付けられたり、生活様式の変遷でニウジが畳敷きに変えられたりして手を加えながら住まわれてきました。
その加えられた部分を取り外し、元の姿が出てくると、本来の古民家の梁や柱の存在感に圧倒させられます。
吊り天井を捲って現れた十字梁。
元々はニウジと呼ばれる土座部分に後から床板を張り、畳を敷いて生活されていました。
この後、屋根の葭を下ろし、土壁を落としていくと、いよいよ軸組の手解体が始まります。
次回のレポートもどうぞお楽しみに。