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現場レポート
2023/01/28

1000本の煤竹

日本各地が10年に一度と言われる寒波で大変なことになっていますが

当店の所在する滋賀県高島市にも雪が降り積もっています。

そんな中、冬仕事として1000本の煤竹をコツコツと磨き仕上げています。

当店は1970年代より50年以上かけて煤竹を蒐集しており、

大量の在庫を保有していますが、その中から30〜50φの太さの綺麗なものを選び出し、

長さ1200mmにカットしたものを1000本分作ります。

 

煤竹は丁寧に水洗いし、乾かしてから亜麻仁油で艶出しをし、

最後に乾拭きをして仕上げるという工程を1000本分こなします。

 

この煤竹は移築再生の古民家の天井材として使用される予定で、

工務店さんに納品して天井パネルを作っていただいています。

煤竹の天井パネル。

このパネルが沢山作られ、古民家の天井に使用されます。

 

その他建具関係や床板の仕事もコツコツと進めています。

今年もコツコツと丁寧に仕事できる一年にしていきたいです。

2023/01/06

明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。

昨年の島村葭商店は、移築用古民家の仮組み現場へ

床廻りの追加古材を納品して、仕事納めとなりました。

 

こちらの床廻りの材料は大変こだわって選んでいただき、

玉杢が沢山見られる欅の地板、栗の床框、四方柾の杉床柱、

虎杢の桜板材、大きな一枚板の松(ジン)材、など希少性の高い

良質な材を使っていただきます。

その他、煤竹、建具や構造材を追加で納品予定で、

特に煤竹は数百本分の状態の選定と仕上げの油拭き作業があり

新年早々忙しくなりそうです。

 

また、年末には軸組一棟と補足の古材を納めさせていただいた

鎌倉の古民家の完成を見学に行き、生まれ変わった姿に感動して

良い年納めとなりました。

その時に見た夕暮れの富士山の美しさは忘れ難いです。

 

年始は京都に3件、大阪に1件、東京に1件、北海道に1件ほど

納品の予定があり、ありがたいことに忙しくなりそうです。

今年も一年、様々な仕事に取り組み精進させていただけますよう

島村葭商店をどうぞ宜しくお願いいたします。

 

2022/09/05

箱階段完成

今年2月より取り掛かっていました鎌倉の古民家移築現場への古材は

大部分を無事納品することができ、当店の仕事は残すところ

細かな造作のみになってきました。

そして2ヶ月前、木工作家さんへ受け渡した欅の古材は、

大変立派な箱階段に生まれ変わっていました。

縦横2mずつ以上ある大きな箱階段は圧巻の仕上がり。

職人さんの細かな計算により組み立てられた作品です。

実際に2階への昇り降りに使われるため、

伝統的な箱階段よりも勾配が緩く設計されているそうです。

踏み板や構造材には、江戸時代の古民家で使われていた欅の平物を製材して再生しています。

鏡板には欅の地板、違い棚の板などを使い、経年変化した古材オリジナルの色に

上から古色を施して統一感を出しています。

踏み板、蹴込板の欅の杢目が美しいです。

この美しい箱階段ですが、古民家の囲炉裏の間の隣に設置されるため

燻された色に合うように全体に古色を施しました。

設計士さんに意見をいただきながら色を決めた

オリジナル配合の古色仕上げです。

欅の杢目がさらに浮き立ち、艶が出て年月を経たような風格を醸し出します。

こちらの箱階段は来週末、木工作家さんに現場設置していただきます。

古民家の中でどのように生きてくるのか、今から楽しみでなりません。

2022/07/11

箱階段、囲炉裏などの製材

引き続き鎌倉の現場へ納品する古材で齷齪しております。

こちらへは板材のみでなく様々な造作材、古建具なども納品しています。

箱階段も古材を材料として作成されるのですが、

欅の鴨居を製材し、その材料を作っています。

箱階段の作成をお願いしている作家さんと打ち合わせを重ね、

必要な材料をこちらで提供します。

箱階段の踏み板になる欅板材。

同時に囲炉裏の框に使う材も製材しています。

細く挽いた材は箱階段の廻り縁など細かな部分に使われます。

製材してできた材を木取りします。

総欅の大きな箱階段を作るため、材料も沢山のパーツが必要になります。

割れや白太を外し、綺麗なパーツが取れるようにチョークで印をしていきます。

木取りした材を作家さんの工房に納品しました。

 

囲炉裏用に挽いた材は並べてみてイメージを掴みます。

設計士さんの意向により、今回は古材の経年変化した色を損なわないよう

表面をさっと磨いて味わいを残します。

 

こうした古材が現場でどのように活かされるのか楽しみでなりません。

2022/06/30

近江八景欄間納品、しぶき板捲り

先日は鎌倉の移築再生現場に、欄間を納品してきました。

こちらの2対の欄間、大変精巧な近江八景が彫り込まれており、

現代では再現不可能な手彫りの技術を鑑賞することができます。

瀬田の夕照や石山秋月など、近江では昔から変わらない景色が

超絶技巧で表現されています。

近江の地から鎌倉で再生された古民家にぴったりの欄間です。

 

枝を表現した部分などは大変繊細で少し触れただけでも折れてしまうため、

運搬には非常に気を遣います。

美術品扱いになりますので、しっかりと梱包をし、業者に頼まずに

当店スタッフで運搬しました。

発泡スチロールとベニヤ板を欄間のサイズに合わせ、ぴったりと梱包しています。

この状態で車の中に固定し、責任を持って運びます。

現場に納品してすぐに中身を確認。

彫刻には一切傷みがなく、安心しました。

 

また、このところ古民家のしぶき板の需要が高まっており、昨日から

炎天下でしぶき板を捲る作業を行っています。

こちらの古民家のよく経年変化した板を捲ります。

しぶき板は元々焼き板のため、炭化しており腐りにくく虫も入らず非常に強い材です。

そのため長年雨風に晒されて白茶けて浮造っていても板自体はしっかりとしています。

足場に乗って板を丁寧に外しています。

板を外すと土壁が出てきます。

綺麗に外れました。

こちらはベルギーの方にご購入いただき、他の材とともに海を渡る予定です。