2022/06/30
先日は鎌倉の移築再生現場に、欄間を納品してきました。

こちらの2対の欄間、大変精巧な近江八景が彫り込まれており、
現代では再現不可能な手彫りの技術を鑑賞することができます。
瀬田の夕照や石山秋月など、近江では昔から変わらない景色が
超絶技巧で表現されています。
近江の地から鎌倉で再生された古民家にぴったりの欄間です。
枝を表現した部分などは大変繊細で少し触れただけでも折れてしまうため、
運搬には非常に気を遣います。
美術品扱いになりますので、しっかりと梱包をし、業者に頼まずに
当店スタッフで運搬しました。

発泡スチロールとベニヤ板を欄間のサイズに合わせ、ぴったりと梱包しています。
この状態で車の中に固定し、責任を持って運びます。

現場に納品してすぐに中身を確認。

彫刻には一切傷みがなく、安心しました。
また、このところ古民家のしぶき板の需要が高まっており、昨日から
炎天下でしぶき板を捲る作業を行っています。
こちらの古民家のよく経年変化した板を捲ります。

しぶき板は元々焼き板のため、炭化しており腐りにくく虫も入らず非常に強い材です。
そのため長年雨風に晒されて白茶けて浮造っていても板自体はしっかりとしています。


足場に乗って板を丁寧に外しています。

板を外すと土壁が出てきます。

綺麗に外れました。
こちらはベルギーの方にご購入いただき、他の材とともに海を渡る予定です。
2022/04/30
鎌倉で必要な床板材がまだまだ足りないため、昨日から福井県のお屋敷で
ひたすら床板を外す作業に勤しんでいます。
昨日の福井県はひどい豪雨で、瓦を落としてしまった屋根はほぼ機能せず、
屋内にもかかわらずの雨に濡れながらの作業。

床板はどれだけ痕を残さずに釘を綺麗に外すかが勝負です。
釘が何箇所もしっかり留まっていると板が割れてしまうこともあり
中々根気のいる作業です。

縁側の立派な欅板、8畳間の桜の板など、
良い材がふんだんに使われていました。

こちらで集めた床板は、乾かして綺麗に磨き、古色をつけてから納品です。
鎌倉の床板材残り約600枚、気合を入れ直して用意しています。
2022/04/19
来たる4月23日、24日に、京都の奥座敷・花背にて開催される
「民家サミット2022」に出店させていただきます。
このイベントは古民家や田舎暮らし、持続可能なライフスタイルに関する
生業を営んでいるお店が全国から出店され、さらに民家ツアーや講演会も
楽しめるというもので、当店も大変楽しみにしています。
当日は古民具の販売から古民家移築再生のご説明まで、
当店の代表とスタッフ4名でご来場者様と交流させていただきます。
ご興味がおありの方は、下記HPをご参照ください。
https://kominkajapan.org/japanese
みなさまと会場でお会いできますことを楽しみにしております。
2022/04/16
先日は富山の森田建設株式会社様へ、泊まり込みで古材の色塗りに行って参りました。
予め磨いて納品した約600枚の古板材を、森田建設様で加工していただき、
当店が古色で仕上げるという工程でした。

広い工場に積み重ねられた板材を、スタッフで手分けして一枚一枚塗っていきます。



古色した板材。
まだ乾いていないため色が定着していませんが、乾くと色が安定します。
杢目の浮き立ち方や一枚一枚の色の自然な違いは、古材ならではの味わいです。

古色した板材は、一枚一枚間に割り箸を噛ませて風通しを良くし、
割付どおりに紐で括ります。
約600枚を2日間で仕上げましたが、思い通りの色に仕上がり大満足でした。
こちらは鎌倉の移築古民家の床板になります。
仕上がりが今からとても楽しみです。
鎌倉の古民家はこれで終わりではなく、後1,000枚ほど板材が必要になります。
スタッフ一同、気合を入れ直して進めていきます。
さて、富山での仕事を終え昨日は草津の方の現場へ。
新規オープンされる中国茶と点心のお店へ、納品した古材の古色仕上げに。

現場で古色仕上げを施す場合には、周りを充分に養生し、
汚さないよう細心の注意を払いながら作業していきます。

掘り炬燵の下に潜って作業している様子。


こちらは古色仕上げしたホダテです。
元々古民家のつし梁として使われていたもので、
はつり跡が古さを証明しており、美しいです。

この辺りの開口部は全て古材で作られており、軽く古色を施しました。
仕上がりを設計士さんに見ていただき、イメージが合えば完了です!
こちらの現場もこれで終わりではなく、大工さんの作業の進み具合に合わせて
もう一度古色塗りに入ります。
大工さんや設計士さんと連携を取りながら、一つ一つの仕事を仕上げていきます。
2022/03/26
先日の3連休は、愛荘町の旧家の蔵へ、床板材の仕入れに行ってきました。
元々近江商人の邸宅であったというこちらのお屋敷は、
明治以降に再建されていましたが、質の良い木材が沢山使われてありました。
中でも蔵に使われていた床板が、750×1900×厚み30の大きさがあり、
大変杢目も細かく素晴らしいもので、今回の当店の目的はこちらでした。
1階は杉板、2階は松のジンの部分の板で、
どちらも大変目の詰まった重くしっかりした板材でした。

蔵の床板を外している様子。
解体は暗闇での作業です。

こんなに立派な一枚板が床板で使われていることは滅多にありません。
床の間の板としても通用するレベルの板材です。

板を傷つけないように綺麗に取り外していきます。
釘を綺麗に外して板に割れが出ないように作業するのはかなりの手間がかかります。

綺麗な杉の板材。
背後の水屋箪笥に対してもこの迫力です。
埃が被っていますが、近くで見ると大変綺麗な杢目が見えます。
こういった床板が杉14枚、松板のジンで4枚、買取できました。
今度は福井県の大飯町のお屋敷へ床板の仕入れに向かいます。
月に10回ほど現場へ向い、下見から仕入れまでコツコツと進めています。
いくつもの現場の打ち合わせや加工作業、
納品などを同時進行で行なっています。