2020/03/26
屋根の葭が全て降り、竹の合掌造りの構造が現れました。
竹の美しさ、構造の美しさが、青空に良く映えます。
竹による合掌造りの構造を下から見上げる。
ささら、梁、束、母屋などの構造が良く分かります。
ほぼ木材による軸組みのみになった民家の様子。
この段階で、軸組みの正確な寸法の調査が行われます。
設計士さんによる測量の様子。
今回は丸2日かけての測量調査です。
この後、移築時にどの材がどのように組んであったかをわかりやすくするため、各構造材に番付を打っていきます。
一つ一つの工程に手間や技術が必要になりますが、古民家を解体して建て直すことは、昔は当たり前のようにされていたと言います。
捨ててしまったり壊してしまったりせずに、生まれ変わらせて使い続けるというのは、日本人が大切にしてきた意識なのかもしれません。
2020/03/14
長浜の古民家解体現場も着々と作業が進み、いよいよ葭葺き屋根を降ろす作業に差し掛かっています。
その前の段階として、床や天井などの板材を捲り、土壁を壊す作業がありました。
板材は再生後にも様々な形で使われるため、一枚一枚割らないように手作業で取り外します。
天井板を捲ると、とてもユニークな形の曲がり梁が現れました。
独特の湾曲が味わい深く、民家の個性を感じさせます。
土壁を壊すと、柱や梁などの構造材が際立ちます。
建具や壁を取り払うと、建物の構造的に弱くなってしまうため、工事中の構造材の歪みを防ぐために筋交いを入れます。
葭葺き屋根の葭を降ろす作業は、足場をしっかりと組んで屋根に上り、棟木の部分から手作業で降ろしていきます。
作業を進めると徐々に棟木と煤竹が露わになります。
どうやらこの民家の棟木には、葭を束ねて強くしたものが使われているようです。
足場に上って葭屋根を触ってみると、ふっくらと柔らかい感触でした。
葭を一本抜いてみると、内部はまだ綺麗な状態でした。
家紋の入った瓦も大切に保管します。
民家の内部が徐々に露わになっていく様子は、百年以上前に建てられた時の様子が浮かび上がるようで、とても興味深く、まさに手解体ならでは。
重機で一思いに潰してしまう解体では知ることのできない歴史の匂いを感じ取ることができます。
長年この家で育たれたお家の方も、感慨深そうな眼差しで解体されていく民家を眺めておられました。
2020/03/01
長浜市の古民家の移築用解体工事がいよいよ始まりました。
屋根や壁の解体に入る前に、まずは移築再生後に再び使うための建具や欄間などを綺麗に取り外します。
取り外した建具は、再び使われるまで大切に保管します。
欄間は、嵌め込みのものと釘で打ち込んであるものがあり、打ち込みのものは綺麗に取るのが大変です。
木枠が細いため、慎重に釘を抜き、取り外します。
釘隠しも取り外し、保管しておきます。
3月11日からいよいよ葦葺き屋根の葦を下ろす作業を始める予定です。
移築用古民家の工事は、通常の解体工事とは違い、後に再生するためにすべて手作業で解体されます。
日本の住文化を次世代に残すため、国内外問わず多くの方にその価値を伝えるため、手間と時間と技術をかけて、移築再生プロジェクトは進められます。
移築用古民家の解体は3月中進められますが、少しでも多くの方にこういった取り組みを知っていただくため、ご見学を希望される方を当店スタッフがご案内いたします。
詳しくは、下記アドレスへご連絡いただけますと幸いです。
info@sm-kozai.jp
2020/02/27
昨年11月頃から進めていた古民家移築再生のプロジェクトが
漸く着工となりました。
長浜の歴史ある葭葺きの古民家が、海を渡り、
ボストンでイベント施設として生まれ変わります。
移築再生はまず、古民家を解体する前のお祓いから始まります。
地元の神主さんに解体清祓いを依頼し、
長年この家で暮らしてこられたお家の方はもとより、
新たな地で再生させる御施主様、工事に関わる各団体の代表者も参列します。
清祓いの儀で建物全体を清める神主さんの様子。
玉串奉奠で参列者が玉串をお供えする様子。
井戸も丁寧にお祓いしていただき、お祓いが終了して初めて解体工事に着手できます。
解体前の家の中の様子。
どの様に生まれ変わるのかが楽しみです。
2018/12/22
毎年、現場講義の一環として当店で古材磨きの体験をされる
滋賀県立大学 近江環人地域再生学座 の皆さまが、
今年もお越しくださいました。
先生方、受講生の皆さま総勢11名に
島村葭商店の歴史や現在の取り組み、古材を扱うことへの思いをお話させていただき
その後、実際に古材を磨くワークショップを行いました。
当店の代表が、古材をホイルサンダーで磨き、表面を滑らかにした後、亜麻仁油で艶を出す過程をお見せしました。
今回使用した古材は、湖北町の180年前の古民家から取れた欅の大黒柱と赤松の地棟梁です。
受講生の皆さまにも体験していただき、
古材が美しい木目と艶を浮かび上がらせる過程を実感していただきました。
煤竹は、水洗いし、その後亜麻仁油で艶を出します。
真剣な表情で煤竹を磨く近江環人地域再生学座の皆さま。
磨くごとにはっきりしていく煤竹の景色に、様々な感想をお聞きすることができました。
磨いた煤竹はお持ち帰りいただき、一輪挿しやタンブラーなど、様々な用途でお使いいただきます。
その後、島村葭商店のショールームをご案内しました。
蛤の貝殻で削り、独特の光る風合いを出した板材など、当店独自の工夫を凝らした細部へのこだわりをご説明。
二度の移築の後も受け継がれる、300年前の湖北の古民家の佇まいと、
ヨーロッパのアンティークのガラスやお寺の破風板を取り入れた遊び心溢れる演出をご覧いただきました。
計90分の講義の中で、島村葭商店の魅力をできる限りお伝えしました。
日常の中ではなかなか触れる機会のない
古材の製成過程や古民家移築再生について多くの方にご体感いただくため
今後もワークショップやショールームのご案内を積極的に行っていく予定です。