2023/03/21
先日は滋賀県内の立礼茶室にて、お茶会にお招きいただきました。
お茶を点ててくださったのは茶人の中山福太朗様。
こちらのお茶室の設計にも携わられました。
ひとつひとつの動きが、どこを撮っても美しいです。
こちらのお茶室は御施主様の意向により、長年過ごされた古民家を解体する際に、
材の一部を思い出として残してその材料を使い建てられたものです。
当店も製材や古色合わせなどで微力ながら関わらせていただきました。
施工は数寄屋建築の工務店、木村全伸工務店様。
古材を新築のお茶室に見事に組み込んでいらっしゃいます。
天井板にも古民家にて長年磨かれてきた深い艶があります。
床の間のしつらえと障子から入る自然光の神秘的な柔らかさ。
煤竹は古民家の階段の手摺に使用されていたものだそうです。
隅々まで丁寧に作り込まれた美しいお茶室に感動し、
贅沢な時間を過ごさせていただきました。
2023/01/28
日本各地が10年に一度と言われる寒波で大変なことになっていますが
当店の所在する滋賀県高島市にも雪が降り積もっています。
そんな中、冬仕事として1000本の煤竹をコツコツと磨き仕上げています。
当店は1970年代より50年以上かけて煤竹を蒐集しており、
大量の在庫を保有していますが、その中から30〜50φの太さの綺麗なものを選び出し、
長さ1200mmにカットしたものを1000本分作ります。
煤竹は丁寧に水洗いし、乾かしてから亜麻仁油で艶出しをし、
最後に乾拭きをして仕上げるという工程を1000本分こなします。
この煤竹は移築再生の古民家の天井材として使用される予定で、
工務店さんに納品して天井パネルを作っていただいています。
煤竹の天井パネル。
このパネルが沢山作られ、古民家の天井に使用されます。
その他建具関係や床板の仕事もコツコツと進めています。
今年もコツコツと丁寧に仕事できる一年にしていきたいです。
2023/01/06
新年明けましておめでとうございます。
昨年の島村葭商店は、移築用古民家の仮組み現場へ
床廻りの追加古材を納品して、仕事納めとなりました。
こちらの床廻りの材料は大変こだわって選んでいただき、
玉杢が沢山見られる欅の地板、栗の床框、四方柾の杉床柱、
虎杢の桜板材、大きな一枚板の松(ジン)材、など希少性の高い
良質な材を使っていただきます。
その他、煤竹、建具や構造材を追加で納品予定で、
特に煤竹は数百本分の状態の選定と仕上げの油拭き作業があり
新年早々忙しくなりそうです。
また、年末には軸組一棟と補足の古材を納めさせていただいた
鎌倉の古民家の完成を見学に行き、生まれ変わった姿に感動して
良い年納めとなりました。
その時に見た夕暮れの富士山の美しさは忘れ難いです。
年始は京都に3件、大阪に1件、東京に1件、北海道に1件ほど
納品の予定があり、ありがたいことに忙しくなりそうです。
今年も一年、様々な仕事に取り組み精進させていただけますよう
島村葭商店をどうぞ宜しくお願いいたします。
2022/11/17
秋晴れの続く10月下旬から、長浜市の葭葺き古民家を一棟解体しました。
艶々に磨かれた欅の梁が入った古民家です。
梁が比較的低い位置にあり、天井が高かったため、
昔は毎日梁を磨いていたのだろうと思われる美しい梁組みです。
伝統的な伊香型古民家で、十字梁の長い方は4間分通っていました。
合掌の中や天井裏に使われている煤竹を取り外しています。
煤だらけになるのでカッパを着て作業中。
回収時はこのようでも、磨くと美しく光ます。
回収した煤竹は束にして持ち帰ります。
こちらは合掌から取り出した合掌丸太や屋中です。
屋根や壁や建具が取り払われ、小屋組のみになった古民家。
天井の板も回収したので梁の上に青空が見えます。
一本ずつ、掛矢やバールを使って仕口を外した部材を
レッカーで吊り上げて運びます。
外した部材を並べています。
4間分あるメインの十字梁は、居間の上にあった部分が艶々に磨かれており、
煤のついた部分との違いがよくわかります。
こちらの古民家は面白い部材が沢山使われており、こちらの欅の
柱や梁は、蛤手斧の跡が美しく残っていました。
写真では少し分かりづらいですが、亀の甲羅のように波打つ木肌が素晴らしいです。
束には栗材が使われており、これも湖北の古民家では珍しいです。
ほぞに昔の番付が残っており、この家の歴史を感じさせます。
2022/09/05
今年2月より取り掛かっていました鎌倉の古民家移築現場への古材は
大部分を無事納品することができ、当店の仕事は残すところ
細かな造作のみになってきました。
そして2ヶ月前、木工作家さんへ受け渡した欅の古材は、
大変立派な箱階段に生まれ変わっていました。
縦横2mずつ以上ある大きな箱階段は圧巻の仕上がり。
職人さんの細かな計算により組み立てられた作品です。
実際に2階への昇り降りに使われるため、
伝統的な箱階段よりも勾配が緩く設計されているそうです。
踏み板や構造材には、江戸時代の古民家で使われていた欅の平物を製材して再生しています。
鏡板には欅の地板、違い棚の板などを使い、経年変化した古材オリジナルの色に
上から古色を施して統一感を出しています。
踏み板、蹴込板の欅の杢目が美しいです。
この美しい箱階段ですが、古民家の囲炉裏の間の隣に設置されるため
燻された色に合うように全体に古色を施しました。
設計士さんに意見をいただきながら色を決めた
オリジナル配合の古色仕上げです。
欅の杢目がさらに浮き立ち、艶が出て年月を経たような風格を醸し出します。
こちらの箱階段は来週末、木工作家さんに現場設置していただきます。
古民家の中でどのように生きてくるのか、今から楽しみでなりません。