2020/11/22
先日、木村全伸工務店様にご購入いただいた古建具と煤竹が、新築に見事に導入されていました。
写真真ん中の、4枚引きの雪見障子戸は昭和初期の滋賀県の古民家で使われていたものです。
幅狭のスタイリッシュな障子戸が、洗練された空間によく調和しています。
煤竹は天井の竿縁として、アクセントに。
桟のデザインがお洒落な2枚引きのガラス戸は、古いものでありながら、現代の洋風な空間に絶妙に合っています。
玄関から見たガラス戸。
真ん中は透明なガラスで、周りにダイヤガラスが使用されている昭和初期のものです。
古材や古建具が素晴らしい空間に活かされているのを見ると、
とても勉強になります。
2020/11/06
本日はベルギーへの古材発送作業を行いました。
実に地板16枚、舟板11枚、雨戸16枚もの古材を専門の業者が取りに来られ、丁寧に積み込んでくれました。
倉庫から舟板を運び出す様子。
琵琶湖の底に沈んでいた120年前の舟板は、扱いが難しいため、
割れたり欠けたりしないように慎重に運んでいきます。
業者さんが予め舟板のサイズに合わせた箱を用意されていて、
一枚一枚クッション材を敷きながら丁寧に梱包していきます。
4m以上ある欅の地板も舟板の箱に詰め込みます。
今回は5.5mの長さの舟板があるので、空輸ではなく船便でベルギーまで運ばれていきます。
荷台の壁面に雨戸と地板を綺麗に整列させ、クッション材とベルトでがっちり固定します。
壁面にベルトの固定場所がずらっと並んでいます。
舟板の箱も全て詰め込み、無事当店を出発しました。
これから古材は美術品専門の運送業者にコンテナへ積まれ、海を渡ります。
ベルギーの建築家さんの元へ届くのが楽しみです。
2020/10/10
ボストンへの古民家移築再生の計画が着々と進む中、
今月半ばからは鎌倉への移築プロジェクトも動き出します。
単品部材でも何件かご依頼をいただいており、
本日は京都の嵐山の現場へ2度目の納品です。
前回は丸太の柱や梁などを数点納品しましたが、
今回はカウンター天板用の欅材をメインに、細かなものを
何点か納品します。
前回納品時の積み込み風景。
本日納品する框用欅材。良い色に経年変化しています。
階段周りのささら用松材は、松煙・紅殻・亜麻仁油で煤けたような古色に仕上げました。
框用欅材は製材したものをそのまま納品します。
階段踏板用松材。鴨居を製材し、こちらも古色塗りで深い色に仕上げています。
今回のメインはカウンターの天板としてお使いいただく欅材です。
長さ5500mm、高さ440mm、厚みが180mmにもなる立派な
欅の鴨居を半分の厚みに製材し、厚み90mmの板にしました。
製材前の欅材。圧巻の長さ、厚み、重量です。
今回カウンター用に必要なのは4000mmなので、
製材前にチェーンソーでカットします。
残った部分は4枚に挽いて別の部分でお使いいただくことに。
機械にセットし、綺麗に半分に割れるように真ん中のラインを見極めます。
欅は反りやすいため、真ん中のラインを決めるのがとても難しいです。
製材していきます。
中身の詰まった赤身の綺麗な製材面でした。
階段踏板用の松材も製材しました。
古材は全て一点ものですので、工務店の方、設計士の方、
御施主様に何度も足をお運びいただき、
実物の表情や重量感、質感をご体感の上で決めていただきます。
お問い合わせをお待ちしております。
2020/08/28
少し更新が滞っていましたが、前回に引き続き
古民家の仮組みレポートです。
古民家の仮組みは、どの部材がどこにあったかを忠実に再現する必要があるため
解体前の図面を何度も確認しながら進めていきます。
図面を見ながら相談する大工さん達の様子。
長い桁材が束に嵌っていくいく過程は、とても気持ちがよく見応えがあります。
ほぞ穴の中を掃除しながら上手く嵌る様に調整しています。
軒の部分の柱や桁は、細い杉材で軽いため、
床で組んでからクレーンで一気に建ち上げます。
建ち上がってからは四方に支える材がないため、
倉庫に備え付けられている板と繋いで留めます。
大体の柱が建ち上がると、今度は梁を乗せていきます。
梁が組まれると、木造建築の軸組が一気に見えてくるようです。
一梁一梁、クレーンで持ち上げて仕口を接合していきます。
多少曲がっている木でも、順応した構造で
自然の曲がりを活かして使用されます。
大体の梁が組み上がったところで上から見下ろしてみると、
この古民家の持つ曲がり梁の面白さが一層感じられます。
このような自然の曲線が多用された建築は
現代では中々見られることはないでしょうか。
13mに渡る桁材も圧巻の迫力です。
こちらの古民家は二重梁の構造になっており
小屋梁の上に束を立てて、更に梁を乗せます。
よりしっかりとした印象になります。
上から見下ろすとこのような感じです。
およそ解体時と同じ、3日半をかけて仮組みが建ち上がりました。
今度は設計士さんと御施主様が実際に仮組みの中で打ち合わせをしながら
どのように生まれ変わらせるかを相談していきます。
仮組みはしばらくの間建ったままになっていますので
ご見学を希望される方は下記のメールアドレスもしくは
お電話番号までご連絡ください。
info@sm-kozai.jp
090-4286-7784
2020/07/04
ボストンへ移築する予定の古民家は、古材磨きの過程が終わり、
仮組みの過程に入りました。
解体から建て方までを担当される工務店さんの工場内で、
一度解体した古民家の軸組みが復元されます。
まずは工場内で磨いた古材を梁、桁、柱などの種類に
分ていくことから始まります。
その後、番付、図面や解体時の写真を参考に組み上げていきます。
まずは解体の時、一番最後まで残っていた一列の柱と貫を
床で組んでから建ち上げます。
この状態では支えるものがなく、すぐに倒れてしまうため、
解体時は筋交いで支えられていましたが、今回は工場の鉄筋に
ロープで括り付けてバランスを保っています。
木組みは四方からがっちりと組まれている状態でようやく安定するので、
仕口が緩い部分はベルトなどで固定します。
貫を天井クレーンで吊り上げ、
両端を柱のほぞ穴に差し込んで支えます。
ほぞ穴にほぞが差し込まれた部分。
元々は束石の上に柱が乗っているため、柱の高さの調整をします。
足下に薄めの板材を何枚か差し込み、板の枚数を調節して
高さを揃えます。
同じ要領で柱と貫を組み立てていき、高さを調節していきます。
レーザーで水平を測っています。
四方の柱が建つと、全体に少し安定性が出てきます。
次は貫の上に束を置き、更に桁を組んでいきます。
上から見下ろすと、少しづつ元の軸組みが
復元されていくのがわかります。
仮組みは、解体前に打っておいた番付を手がかりに、
図面と部材を確認しながら進めていきます。
図面を確認する大工さんの様子。
ただし実際の木組みは図面よりも複雑なため、
「I2」という記号の打ってある部材だけで何本もあります。
写真に写っている番付は全て「I2」。
このため、解体時の順序や構造をよく覚えていないと
復元は難しいのです。