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現場レポート
2021/03/16

煤竹のこと

お客様が煤竹を見に来られるとのことで、準備をしています。

180年の年月を経て、青竹から煤竹と
名前が変わります。
人工的に染められた竹は染め竹と言い、
ここまでのなんとも言えない奥深い色は出ません。
永い歳月を経て、身震いする程飴色に
輝きを放つ竹を本煤竹と呼びます。
写真の様な太さが60Φを超える物で
割れが無く、色が綺麗に出ている物は大変貴重です。
本煤竹は、葭葺き屋根の葭を支える為の構造材で、
昔は身近に有る青竹や細い雑木を使って、
一本一本藁縄で編んで留めています。
それが、永い歳月の中、囲炉裏やおくどさんで
火を使った煙が上へと上がり、害虫の駆除ができるとともに
青竹に煤がこべりつき、その煤を綺麗に
落としてあげ、仕上げに一仕事すると、この様になります。

2021/03/05

古道具の修理や古建具の撮影

先日は明治頃から使われていた欅の箱階段を

修理・納品しました。

納品先は滋賀県内の個人宅で、箱階段の状態を

お客様に確認していただきながら、費用面とともに

修理を希望される箇所を相談させていただきました。

上段は特に修理箇所無し。

下段は中板と底板を別の状態の良い古板材に変更し、

外れていた取手を修理しました。

修理後も元の雰囲気を損ねないように心がけながら

補修用の古材選びをしています。

古いものは味わいがあるという良い面と、破損などで

使いにくいという悪い面を併せ持っていますが、

当店ではできる限り修理しながら長く使っていくという

日本人が昔から持っていた精神を重視しています。

 

 

また、現在当店に在庫が2000枚ほどある古建具のうち

1000枚ほどを一挙公開すべく、ネットショップを作成しています。

パソコン、一眼レフカメラなどを用いて撮影中。

撮影前に入念に建具の状態確認を行い、破損や不具合がある箇所は

全てメモしています。

こちらも箱階段同様、古いものを手入れをしながら長く使っていただくために

修理のご要望も承る予定です。

こちらは2021年5月頃公開予定ですので、どうぞお楽しみに。

 

 

最後に先日琵琶湖沿いの料亭に納品した欅の板材に

プレナーがかけられた様子を撮影しました。

古材は寸法や状態が均一ではないため、同じ寸法で状態も良好なものを

揃えるのには、実際使われるよりも多くの古材が必要になります。

その中から状態の良い部分のみを切り取って使っていきます。

製材し、プレナーをかけてもやはり新材とは違う杢目や色合いです。

仕上げに油拭きを施すと、目を見張る美しさに。

現場に納まるのが楽しみです。

 

2021/01/11

明けましておめでとう御座います

怒涛の2020年もいつの間にか終わってしまい、気がつけば2021年に突入しておりました。

関西では未だ松の内ですが、関東では新年の挨拶もそろそろ時季外れのようですね。

島村葭商店の2021年の仕事は鎌倉移築用古民家の古材磨き作業から始まりました。

柱など残り数十本、長かった古材磨きもラストスパートです。

12月初旬からおよそ1ヶ月かけて漸く全ての材が磨き上がりました。

 

並行して京都に新規オープン予定の立ち飲み屋さんへ古建具や古材十数点の納品準備も進めています。

中でもこちらの桜の木の皮を網代編みにした衝立。

希少なもので大切にしていましたが、遂にお嫁に行くことに‥‥。

 

そしてボストンへの古民家移築プロジェクトも引き続き進んでおります。

移築後の図面は当初のものより一回り大きく設計されたため、増築用の追加材として当店の在庫古材を納品しました。

下屋の桁材や柱材、鴨居等々、計50本ほどが新たに使用され、仮組みも一回り大きくなりました。

今年も引き続き沢山の方と関わり合いながら日本の住文化を残し、伝えていくお仕事をしていけますよう、どうぞ島村葭商店を宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

2020/12/17

欅一枚板山門を納品

先日、京都のとある寺院の別院へ欅の門を納品しました。

納品したのは実に高さ1970mm、幅920mmの欅の一枚板門扉が両開きになる、大変立派な門です。

こちらも欅一枚板の脇戸を、共にこれから建立される寺院の門にお使いいただきます。

 

このままでは大きすぎて運搬が困難なため、部材ごとに解体します。

あて木をして掛矢で叩き、木組みを解体している様子。

門扉一枚でも大変な重量感があります。

梱包してトラックに積み込みます。

年代物の門のため、乳金具や下框など、欠けた部材がいくつかありましたが、他の古い部材で代用することとなりました。

乳金具もぴったりの古いものがあり、そちらを納品しました。

足りない部材に丁度見合うものを在庫から見繕えるのは、沢山の古いものを保管している古材屋の強みと言えます。

 

 

 

 

2020/11/22

蘇る障子戸、ガラス戸、煤竹

先日、木村全伸工務店様にご購入いただいた古建具と煤竹が、新築に見事に導入されていました。

写真真ん中の、4枚引きの雪見障子戸は昭和初期の滋賀県の古民家で使われていたものです。

幅狭のスタイリッシュな障子戸が、洗練された空間によく調和しています。

煤竹は天井の竿縁として、アクセントに。

 

桟のデザインがお洒落な2枚引きのガラス戸は、古いものでありながら、現代の洋風な空間に絶妙に合っています。

玄関から見たガラス戸。

真ん中は透明なガラスで、周りにダイヤガラスが使用されている昭和初期のものです。

 

古材や古建具が素晴らしい空間に活かされているのを見ると、

とても勉強になります。